2008年11月に死刑廃止全国交流合宿および高村薫さんの講演会、死刑囚の絵画展を開催したことをきっかけに、2009年に死刑制度について考える「京都にんじんの会」を発足しました。


by shikeihaishi

タグ:抗議声明 ( 1 ) タグの人気記事

抗 議 声 明 / 死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90

 森英介法務大臣が、本日(7月28日)、陳徳通さん(41歳:東京拘置所)山地 悠紀夫さん(25歳:大阪拘置所)、前上博さん(40歳:大阪拘置所)の死刑を 執行したことに対し、強く抗議する。

 今回の執行は、政権交代を前にして、今後の執行が困難になることを危惧し て、駆け込み的に執行を行ったものであり、同時に、裁判員裁判実施を前にし て、裁判員の死刑制度に対する疑念を強引に消し去ろうとするものであって、 極めて政治的な色彩の強い恣意的な執行である。しかも、衆議院の解散・総選 挙という、国会の監視・監督の全くない中での執行であり、また、退任を約1 ヶ月後に控え、法務大臣としての責任を負うことのない時期における執行であ って、極めて無責任というほかなく、厳しく非難されなければならない。

 とりわけ、昨年の10月の執行にあっては、無実の久間三千年さんを、その 無実の訴えを聞かずして無理矢理に死刑を執行するという大きな過ちを犯した にもかかわらず、その反省もせず、本年1月に続いて3度目の死刑執行を行う というのは、死刑に対する最後の歯止めとならなければならないとする法務大 臣の法的責任の放棄であり、職権の濫用というほかない。

 2006年12月25日の長勢元法務大臣の死刑執行に始まり、鳩山、保岡 の各法務大臣へと続く連続的な大量の死刑の執行は、わずか2年7ヶ月の間 に、11回、合計35名にのぼり、森英介法務大臣だけでも、在任10ヶ月の 間に合計3回、9名の執行を行っており、過去30年間に類例がなく、死刑廃 止に向かう国際的なすう勢に完全に逆行するものであって、強く非難されなけ ればならない。

 国家・個人を問わず、人の命を尊重し、如何なる理由があろうとも人の命を 奪ってはならないことは、人類共通の倫理であり、民主主義の基本的な理念で ある。そして、それ故に、すでに世界の3分の2以上の国と地域が死刑を廃止 しているし、国連は一昨年と昨年12月の2回にわたりすべての死刑存置国に 対して死刑執行の停止を求めたのであり、これに応えて死刑存置国は死刑の執 行を減少させてきたのである。

 昨年10月ジュネーブで開かれた国際人権(自由権)規約委員会において、 日本の死刑制度について審査が行われ、死刑廃止を求める厳しい批判がなされ た。日本政府は、この批判に謙虚に耳を傾け、死刑の廃止に向けてスタートを 切るべきであったにもかかわらず、これにあえて逆らい、死刑の執行を強行し たことは、国際的にも許されない。

 陳徳通さんは、日本語が不自由なために、裁判においても、十分な審理が受 けられず、その結果、強盗殺人の実行行為者が誰かなど、判決には不自然・不 合理な点が多々あるだけでなく、恩赦の出願も行っており、今後再審を行いた い希望も持っていたし、せめて家族と面会をさせてほしいと訴えていた。精神 病にも罹患していた。

 山地悠紀夫さんと前上博さんは、いずれも控訴取り下げで確定しており、三 審まで裁判を受ける権利を保障されておらず、また事件の背景をなす生育環境 や人格特性について十分に審理が尽くされておらず、さらにその責任能力につ いても疑問があり、死刑の量刑が正しかったか否か大いに問題がある。

 以上のほか、法的に何らの義務がないにもかかわらず、死刑の執行を強いら れている拘置所職員の苦痛にも心を致すべきである。

 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、森英介法務大臣 に処刑された陳さん、山地さん、前上さんに代わり、そして、この間連続的に 死刑を執行させられている拘置所の職員に代わって、森英介法務大臣に対し、 強く抗議する。

2009年7月28日

  死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
[PR]
by shikeihaishi | 2009-07-28 20:10